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私が帰り支度をし終わって教室を出ようとした時、ふと疑問が頭をよぎる。
「キョウ、そういや椿姫とレイ姉はどうしたんだ?」
椿姫とレイ姉は私の友達で、同級生。
椿姫は変だけど何か波長が合う親友みたいな感じ。
レイ姉は本当の姉さんみたく優しいいい人。小さい頃に、姉が欲しいと思っていた頃に想像した「理想の姉像」にまさにぴったりの存在だった。
そのいつもそばに居るはずの人物が居なかったのでキョウに聞いてみた。
「え、ああ、今日は用事があるから先に帰ったらしいぜ。」
「ん…そうなのか」
まあ、そういうことなら仕方がないな。
取りあえず、ここにキョウと2人きりでいるのもちょっとマズい気がするので、速攻で帰ることにした。
「…?キョウと2人きり?」
ちょっとまて。
もしかして、キョウは私の寝顔を…
「なななな何でお前は残ってるんだよ、変態!女の子がひとりで眠っている所見て何て想像してんだこの童貞!」
気が動転して、最早自分でも何を言ってるのか分からない。だが、この状況でもしっかりと罵倒していた。
「何も想像しちゃいないんだが…女の子があんな所でひとりで寝ていて心配だからついていたんだが、迷惑だったか?」
…意外な答えだった。
私はいつもキョウを罵倒してばかりなのに、キョウは私を心配してそばに居てくれたのだ。
嬉しいよ、ありがとう。
その言葉が頭をよぎったが、なかなか言い出せない。
「う、う…」
それから先、先の言葉を言いたいのに。
「ウリバタケのおやっさぁぁぁぁん!!」
ついにごまかしてしまった。
「…?」
キョウはきょとんとして私を見ている。
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