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右手を鼻に近づけて
深く息を吸い込んだ
微かに残る煙たい
匂いがあたしを包む
安心と不安は同時に
小さな体蝕んで
ただ忘れたくないと
指先を強く閉じこめた
後ろから腕を回せば
当たり前のように応える
端から見たら二人は
立派な恋人同士よ
その喉が上下する度
噛みつきたいと願う
その頬が髪に触れる度
口付けたいと願う
白くない気持ちを
あなたは知ってるのかなあ
今日も充満している
あたしの独りよがり
同じポケットの中
まるで隠れてるみたい
長い小指が小さく
手のひらの上を回る
何気なく前を向いたまま
絡められた指先に
理性を持たない心臓は
大げさに飛び跳ねた
いつもと違うあなたの
甘い声気づいてる
肩に顔をうずめた
あたしもそうよきっと...
星空を一緒に仰げば
片隅に神様とあの子
密かなごめんなさいは
もう何回唱えたのか
だけど少しだから
すぐそこに帰すから
甘く愛しい時間
あたしに分けて下さい
小指が離れる瞬間
ほんのわずかでも
あたしと同じ気持ちを
あなたも感じてくれた?
「この距離に名前を」なんて
わがままは言わないから
あたしを欲しいと願って
色づいたあなたの世界で
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