歓迎された月曜日についての考察

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「ちょっとそこ! なにのんびりゆったり話してるのよ!」 息を切らした素直ちゃんが、タオルで首筋を拭いながらわたしたちの所に向かって突進してくる。 高く結われたポニーテールが 歩調に合わせて揺れているのが眩しい。 「かあいいなー…」 隣で柏木くんがうっとりと呟く。 わたしもこっくりと頷く。 そんなわたしたちのイヤラシイ視線には微塵も気付かずに、素直ちゃんは仁王立ちして柏木くんを睨みつけた。 「ちょっと柏木くん! キミのサボり癖に謳子を巻き込まないでよっ!」 「いやいやいや、誤解だよ黒木さん。 小早川が先にサボってたんだよ?」 「小早川、ってなによ! 謳子にも敬称つけなさいよ! 馴れ馴れしいわね!!このチャラチャラ眼鏡!!」 「えー? だって友達だし…。 ていうかチャラチャラ眼鏡って…まあオレ眼鏡だけど…」 「素直ちゃん、わたしは別に気にしな…」 「謳子は黙ってて!」 素直ちゃんの眼に炎が宿り、一方的口撃戦争開戦間近となってきた体育館の隅っこ。 頬を上気させた素直ちゃんが、さらに何か言おうと口を開きかけた時、絹を裂くような悲鳴が体育館に響き渡った。 バスケの試合も一時中断して、全員がプレーリードックのように立ちすくんでいる。 わたしたちもびっくりして悲鳴の聞こえた方を向くと、赤い髪の女の子がうずくまっていた。 「あれ…うちのクラスの蜷川さんだ」 柏木くんがぽつりと呟いた。 馴染みすぎて忘れていたが彼は2組の人間なのだった。 「派手な髪ね。 先生はなんであんなの許してるのかしら」 素直ちゃんがふん、と鼻を鳴らした。 「どうしたのかな…。 なかなか立ち上がらないけど」 遠目でよく見えないが、人が倒れているというのに 彼女の周りには誰も寄っていかない。 前髪が異常に長い女の子が傍らにいるだけだ。 「卑怯者!!」 憎悪のこもった叫び声がしたかと思うと、赤い髪の女の子は手のひらを床にバチインと叩きつけ、その手を支えにしてゆっくりと立ち上がった。 華奢なその肢体には、一つだけ違和感があった。 隣で、素直ちゃんが息を飲む音がした。 柏木くんが淡々と言った。 「彼女、左の膝から下を失ってるんだ」
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