歓迎された月曜日についての考察

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「さっきの子、なんだか泣きそうな顔してたけど何かあったの?喧嘩? …うわ、謳子ちゃんすっごい桃の匂い」 わたしはシヲさんを見上げて途方に暮れた。 素直ちゃんの言葉が、ただただショックでたまらなかった。 「あれー?この子まで泣きそうになってる」 シヲさんは可笑しそうに笑って(人が涙目になっているのに失礼だと思うでしょ?)わたしの頭をくしゃくしゃと両手でかき回した。 「シヲさんったら」 わたしはひっくとしゃくりあげて言った。 「どうして急にこんなとこ来たの?」 「気が向いたから。 たまには迎えにいってあげようかなって」 「…暇だったんでしょ」 「そうとも言うかも。 それより謳子ちゃん、こんな時期にそんなびしょ濡れじゃ風邪ひくよ。 何か着替えは?」 「いい…… このまま帰る」 「何言ってんの?馬鹿なこと言わないで。 …もー、じゃあこれ着て」 シヲさんはおもむろにパーカーを脱ぎ始めた。 まだ後ろに控えていた群衆から嬌声があがる。 「ちょっ…! いいから!大丈夫だから!! こんなところで脱いだら先生に通報されちゃうよ!」 「んうー? だいじょぶだいじょぶ」 「あああっ」 制止のかいなく、シヲさんはがばりとパーカーを脱ぎ終えた。 わたしは両手で視界を塞ぐ。 頭に、ばさりと重いものが乗っかった。 「…なに目隠ししてるの? ほら、早く着替えて」 恐る恐る手を退けると、シヲさんはニヨニヨ顔でわたしを覗きこんでいた。 わたしはてっきり半裸のシヲさんがそこにいるのだとばかり思っていたのだけれど、実際のシロさんは白いシャツを着ていた。 憮然とした面持ちで頭に掛けられたパーカーに袖を通していると、傍に立っているシヲさんは群衆に愛想を振りまきながらわたしに耳打ちした。 「僕が半裸になるとでも思った?」 「おっ、おも、おもおも思ってないもん」 「うろたえないでよ、可愛いなあ。 僕の裸は高くつくからこんな所じゃ晒さないよ」 「…それ、色々と間違ってるよ」 「そうかなー?」 やれやれと思いながらわたしはパーカーを装備した。 なんだかスカートの丈よりながくて不自然だけど、シヲさんの香水の香りに包まれるのは悪くない。 「そうだよ。 ほら、もう着替えたから帰ろう?」 「うんっ……………うわ」 わたしを見たシヲさんは顔をひきつらせてのけぞった。 今日は精神攻撃の多い日だ。
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