犠牲者

8/11
前へ
/227ページ
次へ
だけどまさか、そのうっかり部分が恋愛の方向にまで影響を及ぼしていたとは、恐怖すら感じるぜ。 「あの調子じゃ先輩、一生彼女なんてできっこないわね」 「舞ちゃんはさりげなく狙ってたもんね」 「ふぇ!? 舞がタクちゃんのことを!?」 「ちょ、ちょっと奈々! でたらめ言わないでよ!」 「ふふふ、ミューちゃんがいなかったらアタックしたのにって嘆いてたのは、誰だったかな~?」 「奈々!」 机を叩きながら立ち上がる。 その衝撃で椅子が倒れて、鈍い音が下から響いた。 舞は顔を真っ赤にさせて奈々を睨みつけている。 その行為が肯定の意味をもたらしているなんて、当の本人は気づいていないだろう。 ……舞、タクちゃんのことが好きだったんだ。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加