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ああ、いやだ。
これだから不良という奴は。
悪態を心の中だけでひっそりと。
ついてはみたが、秘密厳守だけはしてくれそうな保科を罵るのは気が引ける。
まだ4月なのに五月病を発症しなくて済んだのだし。
それに、
保科が俺を“萌え”の対象でしか見ていないように、俺もあいつの“パーツ”にしか興味がない。
罪悪感を覚える必要もないからラクだといえる。
ちょっぴり顔がカッコいいとか、あの銀髪は目を引くと思うけれども。
仕方がないさ、人間だもの。
それはそれ、これはこれ。
とにかく、友達である必要はないのだ。
「…そうだよ」
保科はいわば、俺の欲求不満を解消してくれる取り引き相手!
それ以上でも以下でもないし!!
ばっさりと、一刀両断。
…ひどいモノローグだなこれ。
言葉を補うか選ぶかしないと、保科に負けじと劣らない思考である。
「ああもう、サイテー…」
呟いて、ため息を1つ。
その勢いのまま、すとんと椅子に腰を下ろしたところで。
「何が最低だって?」
「そりゃあ、俺がほし……っ?!」
問い掛けに反射的に答えを返そうとして顔を上げれば、
「はよっす」
1日の始まりにピッタリの、爽やかな笑顔とご対面した。
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