505人が本棚に入れています
本棚に追加
「うぅ…僕まだ眠いや」
袖口を引き上げた手でくしくしと目を擦る美少年が遊佐。
「おまえそれ、自業自得。手の込んだおかずばっかり作ってたからだろ」
その後ろを呆れ顔で歩いてくる男前が笛吹という。
2人は岳人の親衛隊。
その立場上、岳人の傍にいる俺を邪険にしそうなのだが。
「いいじゃない、今日は特別なんだもん」
「ほっぺた膨らませても可愛いだけですからー?な、三浦」
「‥ちょっ…!」
俺に敵意はないらしい。
とてもフレンドリーに接してくれる。
「へぇ、遊佐って料理得意なの?」
基本的にクラスは3年間持ち上がりだから、遊佐や笛吹とも2年目の付き合いになる。
でも、初耳。
まぁ遊佐は女の子みたいに可愛い外見をしてるから、違和感ないと思うな。
「(よかった、聞こえてなくて…)う‥んと、得意って言うほどでもなくて…その‥」
言葉を濁した遊佐はちらりと笛吹に視線を投げた。
肝心な所で照れ屋な彼の代わりに笛吹が答える。
「ああ。俺ら南 岳人様の親衛隊は毎日、お手製の弁当を持ち寄って皆で食ってんの」
「え!じゃあ笛吹も料理出来るんだ?」
.
最初のコメントを投稿しよう!