いきなりピンチの予感?

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「あだっ!うぅ…前が見づらいぞこんちくしょ――!!」 八つ当たり気味に叫んだ俺の声が、城のような校舎の一画に響き渡った。 その、俺こと三浦 想。 ただ今ピンチです。 ――マジでなんも見えないんだけど?! 視界が非常によろしくなくて、酔ってもいないのに千鳥足。 時々、木の枝やら理事長の胸像の台座やらにぶつかりながら歩いている。 見ようによっては不審者だ。 それもこれも、愛用の老眼鏡を間違えて装着してきたことが原因で。 覚束ない足元。 歪んだ景色。 そんなわけで、さっきから絶賛青アザ更新中だったり。 …とほほ。 度がキツすぎるおかげで、前の授業なんかは板書がイミフで心底まいったのなんの。 「次は化学、か…ある意味平気だけど、不安だし」 面倒でも寮まで行かなくてはならない。 無駄にきらびやかなあの場所が、好きではないけれども。 取り敢えず、近道である中庭を危なっかしい足取りで抜けようとした。 次の瞬間。 「うわぁっ」 .
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