いきなりピンチの予感?

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なにかにつまずいて、ハデに転んだ。 というより転がった。 顔からの着地は免れたが、衝撃で老眼鏡がふっ飛んだようだ。 …地味に痛い。 ちょっと擦りむいたし。 「…ってぇ」 後ろから聞こえる呟きに、俺は慌てて振り返る。 取り敢えず、悪いのは俺だし謝らないとだよな。 「す、すいませんでした。俺の不注意でっ…!」 がばっと頭を下げて、謝罪。 勢い余ってか視界がぐらつき、すぐに顔が上げられない。 それをどう見たのか、心配の色を含んだ声が降ってくる。 「…おい、立てるか?」 低くて、少し掠れた感じの甘く甘い、それ。 かすかに胸が鳴った。 あれ? なんか、ヤバい。 これは覚えがある、感覚。 「ほら、つかまれ」 急速に鮮明になる視界に、差し出された手を捉え、その先の顔を見て弾かれたように後ずさりした。 .
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