いきなりピンチの予感?

5/10
前へ
/43ページ
次へ
バラのアーチをくぐって、大慌てで中庭を抜けた俺は、膝からその場にへたり込んだ。 はぁ…… 危なかった。 静まれ、心臓。 『気持ちわるい』 『おかしいよ、絶対』 あれをまた、繰り返すのはごめんだ。 ふいに不安に飲み込まれそうになって、自分の体を自分で抱き締めた。 立ち上がる気力が起きずに暫しの間そうしていると、 「君、どうした。気分でも悪いのか?」 本日2度目の優しい声掛けを頂いた。 俺、どんだけ人に心配されてるんだよ。 しかも1日24時間あるうちの10分足らずで2回。 ホント、どんだけなの。 「い、いぇっ…俺は」 内心へこみながらも笑顔を作って、声のした方を仰ぎ見た。 その先にいたのは、 「お。誰かと思ったらまぁ…」 「!」 「どうしたよ、みぃ。今にも死にそうなツラして」 唯一、俺を“みぃ”と呼ぶ人。 「…おにーさんに話してみ?」 大切な大切な、俺の幼なじみで担任の遠江 暁那だった。 .
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

505人が本棚に入れています
本棚に追加