とある召喚術士の悲劇

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気を失っている間、俺は夢を見た。 白く高い、本当に高い塔の上に立つ自分と、茜色に染まったさらに高い空からこちらを見下ろす白銀のデカい狼。 狼は静かに言った。 「我は汝を別世界に飛ばした者。 汝が地球に戻りたくば、この世界を『平和』にすること。 このままでは地球もこの世界も『虚無』に堕ちていく。 仲間を集めて終端を導く『魔王』を倒すのだ。」 話が見えないお約束展開。違う世界に行きたいなんて願って…本当に叶ったのか? 「狼さんよォ、俺って今どこにいるんだ?」とりあえず有りがちな質問をぶつける。 「地球ではない世界。それより詳しいことはこの夢から醒めればわかる。」 そんな雑に教えられてもサッパリわかんねえ… でも、本当に異世界には来たようだ。夢オチだったら泣けるけど。 「我が名はデスティノ。永いことお前のような人間を待っていた。」 「…俺のような人間?おいおい、戻りたくばなんて言ったようだが俺ぁ元の地球に戻る気はねぇぞ?なんてったって知らない世界に行きたいって電車の中でさっきから考えてたからな!」 俺の言葉を聞き、狼は鼻で笑う。 「果たして、帰りたくないと言えるかな?」 「…ガチで地獄みてーな世界なのか?」それだったら誰だって帰りたい。 「否、地球とよく似た世界だ。しかし地球にあるものがこの世界には無い。」 一呼吸置いて、再び問うように喋る狼。 「…お前、これから一生ニコ動が見れないと分かったらどうする?」 「死ぬ!」 即答だった。ニコ動が一生見れないだと!? 「ニコニコだけではない。②ちゃんもジャンプもガンガンもポケモンもFFも無い世界で、お前は生きていけるか?」 ちょっと待てよ…俺は動揺を隠せなかった。 「ルーンファクトリーもゴッドイーターも無いのか?」 「当然。」 あっさり言われて、頭が痛くなってくる。俺は動揺を隠せなかった。 軽い動機で異世界に行きたいなんて願うんじゃなかった。今更後悔するとは… 肩の力が抜け、膝をつく。失意の底は深くまだ見えない。いつまで墜ちるんだこの失意の穴は…考えても仕方が無い。俺の心にぽっかり開いた穴は塞がらない。悲しみの海にいつまでももがくことはしない。ただ広い海で足掻いても意味は無い。さよなら歌音ちゃん……俺は(ry 「オイどんだけ落ち込んでるんだ少年。」 「顔が(涙で)濡れて、力が出ない…」
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