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視線の先を『魔の紙』からくいっと上げたそこには、顔は可愛いんだがかわいそうなくらいヒドい天然パーマをした俺の友、谷幡(タニハタ)が立っていた。
…どうやら俺は、死にかけの危険な顔をしていたらしい。
「かわいそうなくらいヒドい天然パーマって言わないでくれる?」
そう言って谷幡は眉間にシワを寄せた。(声に出したつもりは無かったんだけどなぁ)
その顔に、大きなすっきりした手が伸びてほっぺをズイとつかむ。
「まあまあ、悠司くんの言ってる事は間違ってないよ?お前は立派な『かわいそうなくらいヒドい天然パーマ』だ」
「神津!お前まで言うのか!いだだだだだだ!」
谷幡のほっぺを軽く10センチのばしてみせる怪力&インテリ系イケメン長身メガネの彼は、またしても俺の友達・神津(コウヅ)。
谷幡は神津の手を振り払い、周りに聞こえる程の大音量で叫ぶ。
「お前は悠司のテスト結果の紙見たのか!?お前が親身に教えた生物と物理と数学Ⅱの結果!全部赤点だぞ!!俺が必死に教えた現代文と日本史と倫理も!!今日帰ってきた英語Ⅱと数学Bも!!」
ソレ、大声で言わないでくれ…
俺の大音量の(心の)叫びも、二人には届かない。声に出る程の気力が既に無い。
「それは素直に科学以外の全教科赤点って言った方が分かりやすいよね?どれどれ…悠司くん、借りるよ?」
そう言って俺が許可をおろす前に神津は刹那のスピードで俺の『魔の紙』を奪い取った。
俺の名前は天寺悠司(アマデラ ユウジ)。ありふれた普通にバカな高校二年生だ。
最近の趣味はアイドルのブログの確認。
半日に一回は必ず確認してる。流石にウルトラマンのように三分に一回実家に電話を掛けるような気力はない。
…え?違う?マンガの見すぎ?それもそうかもしれない。
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