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『免停というのはですね車の免許ではなくてサンタクロースの免許でして、免許の効力が有効な間は我々が配達しやすいよう様々な機能を使えるんですよ。例えば空を飛んで配達出来るとかね。
ですが先日隣にいる黒須のバカたれが失態をしたせいで免停になったのですよ。
次に姿を見られてはいけないというのは社則でして、まぁ子供に夢を与える職業ですから当たり前なんですけど…。』
「そう。なら普段はどうやって姿を隠しているの?あなた、人と話すときくらいその角を取らないの?」
少し興味が湧いたのか稔が疑問を投げかける。
『黒須の場合は帽子を被ると姿が見えなくなります。私は逆に何もしなければ人に姿は見られませんがこのネームプレートと付けると人に見えるようになります。
それと私の角は地角なので取り外しは不可能です。』
一応真面目に説明してみたものの一般人からすれば存在しないに等しい自分たちの説明をして信じて貰えるのだろうかという疑問が生まれる。
しかし今日は聖なる夜の前夜祭である。
奇跡が起きた。
「…分かりました。あなた達が本当にサンタとトナカイだと認めます。
で?」
一瞬黒須と田中井に笑顔が浮かぶ。奇跡だ、と。
しかし稔の「で?」という続きに困惑した。
「子供に夢を与えるのがサンタなんでしょう?
私のプレゼントは?」
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