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「…あのね稔ちゃん。」
ずっと口を閉ざしてきた黒須だが何かを言いたげに口を開いた。
「幸せはね、プライスレスなんだ。
そんな無理を言っちゃあいけないよ。」
終わった…。
この家を出た時に待ってるのは自分たちのワゴン車ではなく警察とその他大勢の野次馬。
そして明日の朝刊には【イブに泥棒と地角を生やした男2人組現る?!】で一面を飾るのだろう。
そして地角を生やした俺はNASA行き決定だ…。
黒須の夢を引き裂くような言葉に絶望を覚えた田中井は一瞬で未来を予測した。
こんな現実的な言葉に怒りを覚えない子供はいない。
すぐにでも稔は警察に通報するだろう。
しかし違った。
クスリと笑うと
「なんだ、やっぱダメだったかぁ…。
じゃあ仕方ないからPS3で手を打ってあげるわ。PS3を持ってきたら不法侵入の事は忘れてあげる。
ま、今更準備しようにも売り切れてるかもしれないけど。」
と妥協案を提示してきたのだ。
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