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バンバンバンっ!
車の窓をたたく音が響く。
二人同時にそちらに顔を向けると一人の青年が立っていた。
誰だ…?
てか何で俺たちが見える…?
疑問が浮かんだ田中井だがすぐにその答えがでた。
黒須は帽子を脱いだままだ。
黒須が帽子を被っている間はワゴン車も見えない。
しかし帽子を脱いで一般人に見えるようになっている間ワゴン車も同様に見えるようになっているのだ。
つまりワゴン車が見えるかどうかは免許を持つ黒須によるのであって免停中だろうが関係ないのだ。
せっかくちょっと見直したところなのに…このおバカサンタ…。
勤務中は常に帽子被ってろって言ってんだろうが…。
田中井の中で怒りが込上げて来た時だった。
「これ、タクシーだろ?!
頼む!今すぐ光の丘公園まで連れて行ってくれ!」
窓の外で青年が悲鳴にも近い声で懇願していた。
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