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黒須の現実を突き付けるような言葉に川島は肩を落とす。
彼の背後で小包がいくつか積み上げられた山の上から音を立てて落ちていた。
「…俺さ彼女にプロポーズするつもりだったんだ。今日のクリスマスにあわせて。
けど仕事で遅くなって…。しかも仕事が忙しすぎて指輪も準備出来なくてさ。
やっぱこんな事なら無理していくよりまた次の機会にした方がいいよな。」
はははと悲しげな笑顔を浮かべる川島。
その笑顔を田中井はミラー越しに見ていた。
『…おい黒須。』
黒須が顔を向けると彼の相棒もまたこちらを見ている。
サングラス越しでは一体どんな目をしているのか察するのは困難だが、そこは付き合いの長さがカバーする。
ちょび髭のサンタが察したように頷く。
『俺お前の失態のせいで連日連夜働きまくったからすっごい疲れたわー。
今もの凄く休憩したい。例えばイルミネーションがすっげぇ綺麗な公園とか。
あ、そう思ったらすぐに観に行きたくなった。今すぐ観たいわー。』
サングラスをかけた厳(イカ)ついトナカイが可愛い女の子のような我儘を言うと
しょうがねぇなぁと呟きながら助手席のサンタが懐からある物を取り出した。
街灯の光に反射し一際輝いて見える金色の鍵だった。
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