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『確かお前佐丹(サタン)さんとシフト代わって貰ったんだっけ?
あの人は皆から悪魔みたいな人だって言われるくらい鬼畜だからな…。ていうか悪魔みたいな人なんじゃなくて悪魔なんだけどな、あの人。
そんな人にシフトの代わり頼むお前も悪いと思うぜ。』
車についている灰皿にタバコを押しやりながら慰めにならない慰めの言葉を贈ると
青筋を浮かべた黒須がトナカイ男に掴みかかる。
「なんだと、田中井(タナカイ)!!それが落ち込んだ相棒に言う言葉か?!」
それに応戦するかの如く、田中井と呼ばれたトナカイ男が怒鳴る。
『当り前だ!
元はといえばこの間の会社の創立記念日の宴会で、酔ったお前が係長のカツラをズラさなければ免停なんか喰らわず明日だけ配達すれば良かったんだぞ!
お前が免停喰らったせいでクリスマス1週間前から一般車道走りながら配達する破目になったんだ!
慌てんぼうのサンタだってこんなリアリティ溢れたミスなんかしねぇよ!
大体死ぬほど忙しいこの時期に結婚式なんて挙げてんじゃねぇ!三汰(サンタ)のくせに!
立派に【太】に三水(サンズイ)なんかつけやがって!調子に乗ってんじゃねぇ!!』
どうやら不満があるのは黒須だけではないらしい。
うっかり煙突覗いて落っこちるようなどこかのサンタみたいに暇はない2人だが、このあと数十分この不毛な争いが狭いワゴン車内で続いた。
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