1人が本棚に入れています
本棚に追加
「…実君?」
小包の宛名をみた少女が眉をひそめる。
「仮にあなた達をサンタとトナカイと認めたとして、贈り先の住所はあってますか?
三丁目に住んでるのは菊池 実君、二丁目に住んでるのが菊池 稔(キクチ ミノリ)の私ですけど。」
衝撃の事実に黒須と田中井は慌ててリストを見る。
確かにリストには稔の言ったとおりに書かれていた。
『…おい黒須、確かに合ってたんじゃなかったのか?
免停になってる最中に配達先を間違えた挙句に姿を一般人に見られやがって!減給どころじゃねぇぞ!』
ワナワナとリストを持つ手を震わせながら田中井が腹の底から低い声を出す。
黒須のミスの連続に怒りが頂点に達したらしい。
「免停?あなた達前科があるの?
それにあなた達姿を見られちゃいけないって?自分が泥棒って認めたと考えていいのかしら?」
子機のボタンを【110】と押しながら稔は念のため尋ねる。
このままではこの家を出た時に乗るのは自分たちのワゴン車ではなくパトカーになるかもしれないと察した田中井は怒りを抑え慌てて説明に入った。
最初のコメントを投稿しよう!