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周りには小さなおもちゃ屋や花屋、地方銀行等の店舗が並ぶ中、それらの店舗を見下ろすように有名なチェーン店の一際大きいショッピングセンターが建っていた。ちょっと見渡せば田舎町であるこの町には似合わないとさえ思える佇まい。でも、利用する分には便利だからすぐに気にならなくなったらしい。。
周りの店舗程の大きさがある駐車場に車を止め、先に下りた先生がドアを開けてくれた。
「今さらだけど、体の調子は大丈夫?もし、」
「大丈夫です。」
「・・・そっか。顔色も良さそうだしね。でも、だるくなったりしたら言うんだよ?」
「先生は何を買いに来たんですか?」
「ん?ちょっとね、プレゼント。」
「あのお姉さんにですか?」
「ないしょ。香奈ちゃんは何買うか決めてるの?そっち先に行こうか。」
「新しいコップに鏡、あとは下着も欲しいです。」
それから先生は、私の買い物に付き合ってくれて、選ぶのも手伝ってくれた。下着売り場では困った顔をして、「静佳に来てもらった方が良かったね。」なんて言ってたけど・・・。
「せっかくだから、静香さんにもプレゼント買いません?」
「いや、僕からそんな物をプレゼントしたらきっと怒ると思うよ・・・。それに、あの人は食べ物の方が好きだから。」
「そう。」
「ってことで次は食べ物だね。」
結局、先生が買ったのはピーナッツせんべいと、ちょっと良いお茶と地元の銘菓だった。
「おじいちゃんみたい。」
「あはは、そうだね。」
少しだけ笑うと、先生は哀しそうな目で手に持ったおせんべいを見ていた。
「・・・じゃあ、帰ろっか。」
「はい。」
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