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あんなに笑ってたのに・・・。私のを選んでくれている時あんなに楽しそうだったのに・・・。
次の日、先生の目は赤かった。昨日の夜が騒がしかったのは覚えてる。2つ隣の部屋のおじいさんが亡くなったのだ。
後から心臓の病気だったと聞いた。2日前から心拍数が下がっていて、先生は容態を見ながらずっと徹夜で看病していたらしい。
昨日は気付かなかった隈も今は目立っていて、目も赤く腫らして、それでも私の部屋に来た時は気付かれないように笑顔だった・・・。
「先生、病院ではいっぱい人が死ぬんだよ?その度にそんなに辛そうにしてたら身が持たないと思う・・・。」
「あは、バレちゃったか。そうだね・・・、亡くなるばかりじゃないけど、人が生まれたり助かったりもするけど、それでも他よりもきっと病院の方が看取ることは多いと思う。でもね、だからって悲しまないのは違うと思うんだ。僕にとっては家族だったから。病気だったからここに来たんだけど、もっと・・・、長生きして欲しかった・・・。」
「先生、座って。ほら、私の手つめたいでしょ。おでこが冷えたらきっと落ち着くと思う。」
「ほんとだ、ヒンヤリする。ありがとうね・・・香奈ちゃんに治して貰ってたら医者失格だ。」
「医者の不養生。だめよ、体を大切にしないと・・・せっかく元気な体なんだから。」
「うん、ありがとう。ずいぶん楽になったよ。さぁ、診察済ませちゃおうか。これから田中さんのお子さん達と会うんだ。」
「田中さんって、昨日亡くなったおじいちゃんでしょ?子供の人に苛められたらここに来てね。また治してあげる。」
「大丈夫、良い人達だから。それに、治して貰ってばっかりいたら僕がベットに寝てなくちゃいけなくなっちゃうよ。」
「その時は静香さんが先生ね。」
「それも面白いかもね。」
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