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「え、やだ。私百合はちょっと……」
「違う!!」
教室に着くと、黒板に席の順番が書いてあった。トラストとミスティンはその席順に従い、自分達の席に向かった。
運が良いのかトラストの席は一番窓際の一番後ろという、勉強が苦手なトラストにとってはなかなか良いポジションだった。授業中に居眠りすることがもはや確定したような気もするが。
そしてミスティンの席はというと…
「あ!ミスティンの席、ボクの席の前なんだね!」
「うわ、授業中うるさそう…」
これまたトラストの一つ前となかなか良い場所だ。
楽しくなりそうとワクワクするトラストと、静かで居たいと願うミスティンであった。
数分後、ほぼ全ての席に生徒が座り、教室の前の扉から教師が入ってきた。
「えーみなさん、この度みなさんの担任になりました……」
どうやら担任らしい教師が自らの簡単な自己紹介を生徒の前で始めた。
しかし、教師の話を一切聴かない者が居た。
というか、トラストなのだが。
「ねぇねぇミスティン」
「なによ早速、最初くらい先生の話を聴いてあげなさいよ」
「なんか若干先生が可哀想な言い方…それより、この学園って自警団を養成する所だよね?」
「うん。それがどうかした?」
ミスティンが振り返ってトラストの話を聴こうとすると、ワクワクした様子で満面の笑みをこちらに向けていた。
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