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「王様、これは一体・・・。お妃様は薬を多量に飲まれたようですが・・・。」
ソフィアの言葉に、国王ははっとして立ち上がった。
「・・・そなた、妃は産後、容態が急変して亡くなった事にするのじゃ。」
「えっ!?」
「事情があるのです。」
デイヴィッドが口を挟んだ。
「こんな手は使いたくなかったが・・・」
国王は懐に手を入れると、金を取り出してソフィアに握らせた。
「王様!?」
「妃の出産に立ち会ったそなたは産まれた子が王子である事を知っておろう。私は妃に王位継承者についてセヴィーラ派と弟派に分かれて大人達が対立するのを防ぐ為、城内の団結を崩さない為に産まれたこの子を王女として育てると言った。」
「王子様を、王女様として!?」
「セヴィーラは私の一度の過ちから私と側付きの侍女との間に産まれた子。妃は良く思っていなかったはず。王位継承者として彼がいるのは悔しかったであろう。その上、正当な王位継承者となるべきこの子を王女として育てろと私に言われ、それを苦に自害を図ったのだと思われる。全部、私のせいなのだ・・・。私は邪悪な王なのだ・・・。」
国王はうなだれた。
「王様・・・。」
「全ては、城内を団結させ、平和な国にする為・・・。妃の死の理由が分かればこの子が男である事が露呈してしまう。だから・・・、妃は産後容態が急変して亡くなった事にし、真実はそなたの胸の内に秘めていてもらいたい。私も・・・辛いのだ。」
「・・・分かりました。」
とても悲痛そうな国王の様子に、ソフィアは妃は産後の容態の急変により亡くなった事とするようにした。
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