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その時、国王がジラクの手を握った。
「ジラク・・・私を、憎め!お前は、私を憎んでも誰にも咎められない。神でさえ、お許しになるだろう・・・。私を憎んでいいのだ。」
「・・・憎めたら・・・とっくにそうしています・・・!!」
ジラクの肩が震える。
「・・・お前を、苦しめたな・・・。本当にすまない・・・。お前は、本当に優しい心の持ち主だ。昔から、自らが辛い環境にいても、周囲の人間を思いやる。そんな、心の強さと優しさを持つ者が・・・国王にはふさわしい。不安になっているなら、自信を持て。お前なら、きっと国民に受け入れられ、国民から愛される王になるだろう・・・。」
「父上・・・!!大役を私に押しつけていなくなるなるなんて、勝手です!・・・早く治って、再び王座にお座り下さい!」
「・・・こんな私に、そう言ってくれるのか・・・!」
国王は再び涙を流した。
「・・・私は、これで失礼致します。ゆっくりお休み下さい。」
そう言うと、ジラクは立ち上がり、護衛隊と共に部屋を出て行こうとした。
ドアの所まで進み、彼は振り返った。
「父上・・・。名前、嬉しく思いました。ジラクという名・・・大切にします・・・。」
「ジラク・・・!!」
そして、5人は国王の部屋を出た。
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