鋼の花

王女となった王子

｢王様、どうなさいましょう？｣

国王は頭を抱えた。

｢そなた、医者には伝えたのか？｣

｢いえ。事情がおありと思いまして。｣

デイヴィッドは淡々と答えた。

｢お前は、キレ者だな。さすが私の腹心の家来だ。｣

｢ありがたいお言葉、感謝致します。｣

｢うーむ、どうしたものか。まず、助かるか助からないかだな。医者を呼べ。｣

｢誰にも気付かれぬように、ですね？｣

｢うむ。頼んだぞ。最初に発見したのは、そなたか？｣

｢おそらくそうではないかと思われます。他の者が気付いていれば、騒ぎになっていると思いますので。｣

｢そうか。｣

｢では、医者を呼んで参ります。｣

｢ああ。私は妃の部屋で待っている。｣

デイヴィッドは国王に一礼すると、部屋を出て行った。