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ふと、俺はアイツの気配を感じた。
そのとき。
「おい、どうした? 緊張してるのか?」
不意に先輩の選手が声を掛けてくる。
「い、いえ」
俺は慌てて返事を返す。
「まあ緊張するのも無理はない。俺もこの球場自体はオープン戦や交流戦で何度か体験してるが未だ慣れない・・・・・・特にこんな熱気に包まれた甲子園は――高校のとき以来だからな!」
先輩はそう言って、俺の背中をバンバン叩き、去っていった。
そして俺はもう一度、気配を感じたほうに視線を向けた。
・・・・・・。
もはやそこに、なんの気配も感じることは、なかった。
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