行けなかったあの場所へ

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それから、いくつもの季節が、過ぎた。 俺が実業団で細々と野球をやっていた時のこと。 「久しぶり!」 彼女が、目の前に現れた。 彼女は言った。 「今度のチーム、甲子園へいけそう?」 は? 「強いんでしょ、今度のチーム……前と違ってさ」 呆気に、とられた。 「甲子園には行けないよ、このチームじゃ」 今度は彼女が、呆気にとられていた。 「……ドームになら、行けるけどさ」 「……そっか」 寂しそうに、彼女はつぶやいた。 その数ヵ月後。 チームは悲願の都市対抗出場を果たした。 ドームの人工芝を踏みながら、なぜか、寂しくなった。
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