行けなかったあの場所へ

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「そういやさぁ、なんで君は甲子園が “ 夢 ” なわけ?」 何の気なしに、アイツに聞いてみたことがある。 アイツは俯いたまま答えない。 「まぁ俺ら高校球児にとっては最高峰の大会だし、ゆえにマネージャーである君にとってもそうだ、ってのはわかるけど・・・なんかそれ以外にもありそうなんだよね、君の場合」 俺がからかうように言うと、アイツはやっと、恥ずかしそうにこういって笑った。 「あのチームのフランチャイズ、だからかな」 あのチーム・・・・・・ 当時、最高のファン、最高の本拠地を持ちながら、最低の成績しか残せずにいた、セ・リーグの老舗球団。 アイツは、あのチームのファンなのだという。
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