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俺が短剣を投げ捨てたのを見た盗賊風の暗殺ギルドの一人が切り込んで来た。
俺はもちろん――
避けれなかった。
オウガが、逃げれなかったんだ。
俺が避けたらオウガが切られる…だから避けなかった。
そうして俺は、右肩から左脇腹のあたりにかけて深い切り傷を負った。
オウガは自分のせいだって落ち込んでいたが…これは、俺が短剣を捨てなければ防げたことだ……。
自業自得ってヤツ、かな。
で、まあ…何とか俺とオウガは近くの窓から外に出て、森へ逃げ込んだ訳だな。
あてもなく森へ…ではなく父さんが「もしもの時の為だ…」とか言って、洞窟の近くに穴を掘って食糧やら何やらを隠してくれてたんだ。そこへ向かった。
しかし、森の先には街があってな、城の1番近くの街ほどでは無いが栄えているんだ。ただ、隣国から逃亡してきた盗賊とかがあまりにもその街で盗みやらするもんだから、城の何十人かの兵士と小型のキメラが四体くらい配備されてる訳で……
まあ、そのうちの俺とオウガが王とその補佐役になることを良く思わない奴らが城からの伝令でキメラ二匹を連れて俺達を殺しにきた。
傷さえなければ余裕で勝てたが……
「すまねぇ…オウガ……約束……守れねぇかも知れね……」
俺は、奴らを気絶させた後、洞窟までの道を歩いていたが…もう、限界だった。
「もっとお前と居たかった……ゴメンな…」
霞みゆく意識のなか、誰かの声が聞こえた。
『こいつは良い研究材料になりそうだ。』
研究材料…どうせ死ぬなら良いか…いや、やっぱり材料なんかにされたくねぇな…。
そう思ったが、俺の意識は闇に沈んでしまった。
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