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オウガ「大丈夫?少し休む?」
少し遅れていたトライドの為に立ち止まり、心配そうに尋ねた。
トライド「大丈夫だ。問題無い…」
少し苦しげではあるが普通に答えられてしまったので追及する訳にもいかない。
オウガ「そう?なら…良いんだけど…。」
渋々ながらも了承した。
トライド「ほら、さっさと逃げるぞ…」
トライドはさっさと逃げようと歩きだした
オウガ「あっ…待ってよ兄さ……」
慌ててオウガはついて行こうとした。しかし…
トライド「動くな、オウガ!!」
突然トライドに強い口調で言われ、驚いて立ち止まる。
オウガ「え?な、何?」
戸惑うオウガの目の前に矢が突き刺さった。
トライド「森の先に配備されてる奴らか…厄介だな…よし、オウガ…俺が奴らを引き付けるから、例の場所まで逃げろ。」
オウガ「嫌だ、僕だって戦える!」
トライド「いや、お前は逃げろ。」
オウガ「嫌!兄さん一人じゃ…」
トライド「大丈夫だからさっさと行け!」
オウガ「だって兄さんは…それに…僕…兄さんと離れたくない!」
トライド「オウガ…俺だってお前とは離れたくないんだ…」
オウガ「だったら…」
トライド「でもな、どうしても…これ以上、俺は逃げられない。逃げ続けるには不利過ぎんだ…だから、せめてお前だけでも生きてほしい。弟を守るのが、兄の役目だ…」
オウガ「でも、僕…兄さんと離れたくない…だって、兄さん怪我してる……」
トライドは深い傷を負っていた。現に、まだ新しいその傷からは血が流れ、点々と落ちては地面に吸い込まれていた。
トライド「もう奴らが来る…逃げ場が無くなる前に行け!絶対、追い付く…だから」
行けるとは限らない。しかし、そう言わなければオウガは逃げてはくれないだろうと、トライドは無理な約束をした。
オウガ「……分かった。絶対、来てよ?」
トライド「分かってる。振り返るな、さあ、行け!」
オウガ「…絶対だからね!!」
オウガは走り出した、兄が死んでしまうかも知れないという不安に駆られ、泣きながら…。
オウガが見えなくなった頃、兵士達と小型のキメラ二匹が現れた。
トライド「絶対に…行くからな、オウガ。」
トライドは呟いて、咆哮をあげながら相手に飛び掛かった……
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