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僕と兄さんは、あるお城で『満月の夜に生まれた』。
だから、僕と兄さんは人間じゃないんだ。兄さんは銀灰色の髪で紅の綺麗な瞳、僕はちょっと茶色っぽい黒髪で黒い瞳。そして僕と兄さんには…
狼の耳と尻尾がある。
母さんも父さんも僕らを可愛がって、大切に育ててくれた。
けれど、七年くらい経って、『人間の』赤ちゃん…弟が産まれた。
僕も兄さんも、新しい弟が出来た事を喜んだ。
でも…その頃から母さんは僕と兄さんに対して、冷たく当たるようになった…
弟に近寄ることも出来なかった。
父さんだけは、僕らをいつもと変わらずに可愛いがってくれた。…僕と兄さんはそれだけで十分だった。
母さんが冷たく当たるようになってから六年。
苛酷な運命の歯車が廻りだした。もしかすると、すでに廻っていたのかも知れないけれど……。
ある日、僕と兄さんの食べ物には『毒』が入れられていた。
それから兄さんは、料理に毒が入っている事を警戒して夜にお城から抜け出して、鳥や鹿を捕って食べるようになった。
僕は父さんに頼んでお金をもらって、毎日自分で食材を買い、自分で料理を作って食べた。
僕は、兄さんにも料理を作ってあげようと思って聞いてみたんだけど……。
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