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そして、俺はウルの事を思い出した。
こんな研究、ウルには苛酷すぎる。死んでしまう。いくらなんでも可哀相だ。
そうだ、ウルを連れて逃げよう。そう考えた俺は人間から狼に変身した時の要領でなんとかドラゴンから狼に戻り、匂いをたどってウルの居る場所まで走った。
途中、何人か研究員とすれ違ったが気絶させて来た。
中に入った途端、ウルが喜んで呼びかけて来た。
ほっとした俺は、すぐに逃げる事を伝えた。
「さあ、逃げるぞ。しっかりつかまってろ。」
ウルを背中に乗せた俺は、また走った。外の匂いがする方へと……
――ガシャン!
外へのドアが見えた時、目の前で鉄柵が飛び出した。
慌てて止まる。
――ガシャン!
後ろでも鉄柵が飛び出した。俺達はどうやら閉じ込められたようだ……なんてな。たかが鉄柵。爪で引っ掻けば簡単に切断できる。
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