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――思っていた。
実はとんでもない問題だった。
奴は…宿主が苦しむ事を楽しむ。宿主の大切な者から優先して、傷つけ…いたぶり、喰う。
喰らう者などの獣人のもう一つの自我が見ているものは、宿主にも見える。
だから喰らう者は見せ付けて、苦しめるんだ。
自分の身体が、自分の大切な者を殺すという精神的苦痛…
もう一つの自我は必ずという訳では無いが、人喰いの要素があるようだった。
喰らう者等の一部は代々前世の記憶を引き継いでいる。
その記憶を見せられた俺は、悲しくなった。
悪いのは、喰らう者だけではないじゃないか。
そう思った。
しかし、今はそれどころでは無い。なんとかしないと、いつかウルを殺してしまう可能性がある。
しかし、いくら頑張ってもドラゴンへの変移も止める事もできず、じわじわと俺の意識も封じ込められはじめた。
牙が、爪が、身体が…全てが大きくなっていく。
止められない、止めラれナい、止メらレナイ、トメラレナイ……
もう、この身体は俺にはどうする事も出来ない…
俺の意識は、ただ、有るだけ。身体は、喰らう者に乗っ取られた。
「グルルァアァァッ!!」
ドラゴンに変移した喰らう者が嬉しそうに、咆哮した。
奴の意思が俺に流れてくる…
『ようやく乗っ取れた。今までの中で二年も持ちこたえたのはお前が初めてだ。だが、お前は一生苦しむ…俺がお前を苦しめる。覚えておくが良い…俺の名はイーター。』
そして、俺はイーターのする事を傍観することしか…出来なくなった。
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