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兄さんはそれで右肩から左脇腹のあたりにかけて深い傷を負った。
ああ…なんて僕は役立たずなんだ。…僕さえいなければ兄さんが怪我をする事なんて、なかったのに…。
それでもなんとか近くの窓からお城の外に逃げ出して……父さんがもしもの時の為にって、森のある場所にたくさんのお金と二本の短剣、フード付きのローブ、ある程度の保存食を隠しておいてくれた場所に向かっていたんだ。狼の姿で。
そして、向かう途中で…森の向こうの街に配備されていたと思われるアルを支持している兵士が小型のキメラを連れて僕らを殺しに来た。そして…兄さんは囮になって…
兄さん…絶対に来るって言ってたけど……
ううん、暗く考えちゃ駄目だね。
「兄さんはきっと来る」
僕は、待ち合わせ場所でそっと呟いて眠りについた。
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