人類ドッペル化計画

2/10
前へ
/400ページ
次へ
長谷部がゆっくりと口を開いた。 「我々人類は文明が発達し、便利なものができることによって、運動を怠るようになり大きく身体能力の減少が見られるようになった。 また、ゲームなどの娯楽道具が次々と出るようになり、頭脳まで低下し始めました。 その結果、近年世界では今までありえないと思われていた人類初めての出来事――文明の衰退という現象がおきています。 例を挙げますと、30年前に作られたスーパーコンピュタLKE それは今まで作られていたコンピュータの性能を凌駕していました。 と言っても、その構造もまた複雑で作られた当時でもそのプログラムを理解出来る人間は世界で10人といなかったと言われています。 しかし、逆に言うと何人かはいたのです。 ところが現在それを理解していた者たちが引退したり、死を迎えることによってついにこのPCを作れるものはいなくなりました。 このように過去から伝えられている技術が現在使えなくなっている――そんな現象がたくさんと近年報告されるようになってきています。 私たちはこういった現象を文明の消失とよんでいます。 文明の消失は人類にとって大きな問題となってるのです。 2年前、あるアメリカの学者は、このペースであと100年も経てば、逆に文明は100年前のものとなっているだろう。とも発表してるのです」
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加