計画の序章

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暗闇に沈む、広大な実験室。 そこには大小さまざまな機械が立ち並び、不気味な金属の反射光が冷たく光る。天井の高みまで届く巨大な装置たちは、見上げるだけで人を圧倒するほどだ。その中に、ぼんやりと二つの影が浮かび上がっている。長身の男と、やや丸みを帯びた男の姿が、密かに何かを語り合っていた。 「計画は順調に進んでいるか?」 低い声で尋ねる長身の男に、太った男は深く頷く。 「はい、着実に進んでおります。あとは全国民のDNAを採取するだけです。」 その返事に、長身の男の口元が薄く緩む。そして、満足げに頷くと、冷笑を浮かべた。 「そうか。これで、我が国が世界にその力を見せつける日も近い…ハッハッハッ!」 二人は闇の奥で声を潜めるように笑い合うと、やがて暗がりに溶け込むように姿を消していった。 日本を、いや、世界を揺るがす陰謀が今まさに、水面下で進行していた。
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