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卒業式の後、私は大輔先輩にメールを送った
ずっと前から打っては消してを繰り返し、やっと作成したメール
そのメールを送るのにも躊躇して数分かかってしまったため校内には、もう人が見当たらない
もしかしたら、先輩も帰ってしまったかもしれない
悪いイメージばかりが膨らみ、断られるのを覚悟していたのだが、先輩は私の呼び出しに応じてくれた
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ダイスケ「待たせちゃってごめん;」
校庭の隅に座って待っていると、大輔先輩が小走りでやって来るのが見えた
声を聞いた瞬間、一気に鼓動が早くなる
緊張して体温が徐々に上がるのがわかった
トモカ「い…いえ…大丈夫です」
落ち着かなくちゃ
分かってる…
そんな事分かってるのに…
緊張と焦りで頭の中が真っ白になった
そんな自分が情けなくてじんわりと涙が出る
こんなに緊張して馬鹿みたい
先輩に「好き」って言えば良いだけなのに…
たったその一言が言えれば良いのに、言葉が出てこない
ダイスケ「…少し歩こうか」
やっと先輩の顔を見ると、いつもと変わらない笑顔で私を見つめていた
その表情を見て、いくらか落ち着きを取り戻す
歩きだした先輩を追うために、震えていた足に力を込める
少しだけ緊張が和らいだおかげで、なんとか足が言うことを聞いてくれた
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