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少し前を歩く先輩の背中をぼやけた視界の中、見つめる
あぁ…
先輩は卒業してしまったんだ
校内を歩いているのに、先輩の存在だけが浮いているような錯覚
先輩はもうこの学校の生徒ではない
一人で感傷に浸っていると、先輩が立ち止まり振り返った
ダイスケ「寂しいからちゃんと隣に来て?」
困った様な表情を浮かべる先輩に慌てて駆け寄る
隣に立って「すみません」と謝ると「何で謝るの?」と笑われた
肩がぶつかりそうになる微妙な距離
間近で先輩の笑顔を見れたのに、気持ちは晴れてくれなかった
こんなに近くにいるのに
先輩が凄く遠くに感じた
ダイスケ「高校で友香ちゃんにまた逢えるとは思ってなかった…」
歩きだした先輩に黙って付いて行く
昨日まで過ごしていたはずなのに先輩は懐かしそうに、校舎を見上げていた
ダイスケ「入学式で見かけた時は驚いたし、凄く嬉しかった。「あの子、ちゃんと受かったんだ」って」
トモカ「入…学式?」
先輩が持つ優しい雰囲気のお陰で、さっきまでの緊張が大分和らいでいた
まだ完璧じゃないけど、少しはましになった
それより、入学式って…
不思議そうに聞き返す私を一瞬見てから、思い出す様にゆっくりと話しだした
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