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黒田二十四騎の中に、益田与助という足軽大将がいた。
この男は元々、黒田家の厨房の水汲み係に過ぎなかった。
しかしある時、黒田如水(官兵衛)の目に留まり、段々と出世していったのだ。
民間出身者なので足軽の扱いが上手く、足軽大将としていくつも手柄を挙げた。
だがこの与助、民間出身者ゆえの欠点もあった。
ある時、与助は如水から三百石の加増を受けた。
殊の外嬉しそうな与助は、それを同僚達に喋っていたのだが……。
与助「いやぁ、俺さ、この前も殿から立派な馬を貰って身に余る『かんとう』だと思ってたのに、
今度もまた重ね重ねの『かんとう』で、嬉しくてしょうがないんよ」
同僚「……あの、益田様、『かんとう』って何ですか……?」
与助「……え?」
よくよく話を聞いてみると、それは『加増』のことであった。
与助は民間人の出身故に、字を読むことが出来なかったのだ。
なので、人が話す単語を聞いて覚えるしか無く、このような聞き間違いが生じたのだった。
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