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―――――僕は―――――
―――――僕は…何処に向かってるんだろう――――――
―――――温かい手に、青い光―――――
―――――僕は…どうなっちゃうんだろう―――――
………か……ろ…く…
…たか……ん!
「…………ん………」
「たかひろくん!貴大くん!!」
…幾度も呼ばれる、自分の名。それに気づき、貴大ははっと目を開ける。
「ぉおっ…せ、セツナさん!」
「ちょっと…大丈夫?」
「だいじょぶ…じゃ、ないかも…それよりさ、ここ、どこ?」
セツナと貴大の目の前には、貴大が今まで見たことのないような異様な光景が広がっていた。
木が鬱蒼と生い茂る森。しかし鳥の鳴く声は聞こえない…生き物の気配そのものがない森だ。
その中心たる場所には、中世の城を思わせんばかりの―しかしそれよりはメタリックな外壁のためか現代的で―巨大な建造物が"存在"していた。その左右対称ぶりといったらまさに現代版タージマハルと言っても過言ではないだろう。
貴大はセツナに連れられ、森を通り、建物の扉の前まで来た。
「…紹介するわ、これが私の所属する組織…『エレメント』の拠点―――の日本支部よ。」
セツナは扉の横のモニターにそっとシステムPCをかざす。
ピピッという電子音と<カクニン カンリョウ>という機械的音声の後、眼前の巨大な扉はスウッ左右に割れた。
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