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「・・・」
貴大はとりあえずセツナを茶の間へと案内し、自分は台所でお茶を淹れる。その間二人の間に会話は無く、互いに気まずい雰囲気を感じてしまう。
台所から湯気の立つ湯呑みを持ってきた貴大を見、
「あっ、お構いなく…ってもう遅いか、ありがと」
セツナは恥ずかしそうに俯いてしまった。
「えーっと、それで、セツナさん。俺に話って一体…?」
まだ熱いお茶に口を付けながら貴大は尋ねる。
セツナが話し出すまでは、しばらく間があった。貴大がもう一度訊こうかとした時、その口は重そうに開いた。
「貴大くん…私の闘う姿、見ちゃったのよね…?」
頷く貴大。
「そっ、か…。」
哀しそうな表情を浮かべるセツナに、貴大は理由を見いだせなかった。
「なんで今更そんなこと訊くの?見ちゃマズかったのかな…」
おどけたふうにそう言う貴大だったが、セツナはクスリともしなかった。寧ろ真剣な顔で貴大を見つめ、居住まいを正して、話し出した。
「あのね、貴大くん。今から私が話すことは、全部ほんとのことよ。信じられないかもしれないし、びっくりするかもしれない。でも、ちゃんと聞いてほしいの」
並々ならぬ覚悟を秘めたセツナの物言いに、貴大はゴクリと唾を飲み込んだ。
「私は、人間を守る為に創られた、とある組織に入っているの。で、私はそこの戦士として、日々『マモノ』と闘っているわ。あなたがさっき襲われかけたやつ。あれが『マモノ』よ。普段は人間界ところに棲んでいるけれど、腹が空くと人間界に出てきて人間を襲う」
耳を疑う貴大…
「ま、マモノ…じゃあ、僕…喰われかけたってこと!?」
衝撃の事実である。
「そう。私達はそのマモノから人間を、世界を守っている。…で、ここからが問題。私の所属している組織には、ある絶対的規定があるわ。その中のひとつは」
深く息を吸うセツナ。
「戦士の闘いを見た者は、秘密保持の為、例外なく組織に入団し、戦士とならなければならない」
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