愛する人へ

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軍服をきた青年は手をさしのべた。 老婆はその手をたよりに、船に乗った。 船の上に老婆の姿はなかった。 青春最中の少女の姿があった。 愛する人よ。 再びこの世へ帰ってきたら、 また、よろしくお願いします。 ……… こうしてまた1人、 あの頃のことをしる人が この国から消えた。 そして… やがて、この国は、あの悲劇を 忘れてしまうのか? そして… あの悲劇を繰り返してしまうのか? そして… あの夫婦は、生まれ変わってからも、 あの悲劇で運命を引き裂かれてしまうのか?
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