最後

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辛い記憶が急に吹っ飛び 違うことが思い出された。 初めてこの世に顔を出したとき、 初めて母に抱かれたときの温もり… 母は僕に、願いを込めて名前をつけた。 母は僕に、期待を込めて母乳をあけた。 母は僕に、愛を込めてここまで育ててくれた。 本当は…僕は孤独じゃなかったんだ。 僕は、いろんな人に支えられて育ってきたんだ。 最後に一瞬、母の涙で歪む顔が頭に浮かんで 彼は地面へと叩きつけられた。 湿った彼の目玉には夜空が映っている。 しかし、彼はもう、目玉に映るものを理解できない。
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