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もうすこしで当たる、という時に運動神経がとても良い啓兎は胸ぐらを掴んでいた手を払い、横に避けた。
剛「っ?!」
剛は自分のパンチを避けられた事がない。
しかし、見た目が弱そうな啓兎に簡単に避けられびっくりしてビシッと効果音が付きそうな勢いで固まった。
啓兎「覗いてしまってごめんなさいっ!どうしても気になってしまって…。」シュン
剛「…どうやって避けた。」
覗いた事に関してはどうでもよさそうな剛にホッとしながらも質問に答える。
啓兎「えっと、俺運動神経とか良いほうなのでギリギリでしたが避ける事ができましたっ!」
剛「そうか。お前、名前は?」
啓兎「白坂 啓兎って言います。」
剛「そうか。白坂、急に殴って悪かったな。あいつらの仲間かと思ったんだ。」
そう言って後ろに倒れている人達を顎で指した。
案外素直にあやまった剛にびっくりして啓兎が目を見開いた。
剛「ぁあ?んだよ。人が折角あやまってんのに。」
啓兎「ビクッ!いいいいや、大丈夫です!」
小動物みたいにビクビクしながら会話をする啓兎に剛はなんだか心が暖かくなり知らないうちに笑っていた。
剛「お前、面白いな。」ふっ
啓兎「!!絶対笑ってたほうがいいのに。」
剛「あ?」
啓兎「ごごごごめんなさいっ!」
怖すぎて涙目になり俯く。
剛「ははっ、そんなに俺が怖いか?」
から笑で少し寂しそうに言い、俯いてしまった剛に自然と手が伸び頭を撫でていた。
啓兎「大丈夫、寂しくないよ。俺がそばにいてあげる。」ニコッ
剛「っ!」
剛は心がきゅっとなり、つん!と鼻が痛くなった。
そして見られないようにそっと啓兎を抱きしめた。
剛「悪い。少しの間こうさせてくれ。」
啓兎「立ったままで辛くないか?」
なでなで…ぎゅっ
啓兎はなんだか大型犬に懐かれた気分になり、自分からも抱きついた。
剛は急に啓兎を抱き上げ、無言で歩き始めた。
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