第一章:潜入捜査は危険な味

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「転校生の、未佳鷺玲紅斗君だ。」 薄汚れた教室の黒板の前に青年は立っていた。 彼の名は、未佳鷺玲紅斗(ミカサギレグト)。16歳である。転校生などではなく、潜入捜査としてやってきた学生警察官だ。連続殺人鬼『殺陰慈音路(サイオンジネロ)』事件の担当をしていた彼は、犯人は学生であると推測されたことから学校への潜入捜査を任された。ここ公立麻戯(アサギ)高校が記念すべき第一校目である。 一通り嘘の経歴を説明された未佳鷺は、歓迎ともなんとも言えない音だけの拍手の中を潜り抜けて指定された席へと着く。窓側の一番後ろ。ここなら、クラスの生徒を監視する事が可能だ。そう思ってぐるりと周りに目をやった。 (一見怪しい奴はいなさそうだな…) そして、最後に右隣の生徒に目をやった途端に、未佳鷺の目が止まった。一際目立った生徒が座っていたからだ。
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