Episode†0

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ネオンの煌めきに舞うは、鮮やかな緋色。 そそり立つ建造物の悲鳴が煙りとなって立ち上り、夜空に融ける。 【ド、ドンッ】 華火が燃え盛る。 『おやおや、残念ですね』 男の眼鏡が月光を集めて妖しく輝った。 『折角夢が叶ったというのに』 下界は音の洪水に溢れている。 『いやしかし、ヒーローが膝を折る姿というものは何時見ても心地が良いものですね』 男は微笑み、指を鳴らす。 【パチン】 月に向かって宙を歩く男の背中越しで。 街が一つ消し飛んだ。
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