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都内でマイカーを持つ何て無駄な事だと思っていた。 旅行が趣味でもない俺には邪魔なだけだ。
親父のが一台ガレージにあるだけで事足りている。
…が、まさかこんな事になろうとは想定外も程々にして欲しい、寧ろ己が憎々しい。
ノミの心臓とは巧い例えだ。この俺に部長へ直々に辞表を出す潔さ等到底無い。仕方無いので郵送で出した。
情けないとかヘタレとかもうどうでもイイしな。
只、困った事は足が無いから公共の乗り物に頼り、行くアテ無くとも適当に都会から離れ適当な宿にでも泊ればイイと思って鈍行に乗り込んだ処、駅員に起こされる迄気付かなかった事だ。
…此処…何処ッスか…
深夜零時もとうに過ぎて、電灯さえロクにないド田舎らしく辺りは真っ暗闇だ。
宿どころかコンビニすら無いのかも知れない…
まぢかよ。俺どんだけ人生に見棄てられてンだよ…
ホトホト疲れた俺はもう先の事は考えるのはやめたくなった
全て放り出しリタイアしたかった
暗闇にも眼が慣れてくる。横目で見れば寂れたバス停とベンチがあった。
バス停裏には、竹藪なのか雑木林なのか判らない不気味で鬱蒼としている又ドス黒い闇。
此処が終焉の地に思えたのは俺の悲観的願望だったからであろう
ガサリ
一歩踏み入れた足が止まらない
何処の気違いがこんな処に入りたがるだろう
そんな奴…
…居るし
心臓が跳び跳ねる位バグバグした。
幽霊かとも思った。
死体かとも思った。
だが其れは、胸や肩の微かな上下で解る。
月明かりだけの闇では格好位しか判らない。
制服からして、女子中学生?高校生?が竹にもたれる様に横たわって居る。としか判らない。
酷く衰弱してるのか?微動だにしない。
と、兎に角助けた方がイイ
俺はそっと、彼女?を起こす為、肩に触れ様とした
ドス
世界が反転した
何が起こったか解らない侭、真ん丸の月を仰いで居た
「…貴様…ババァの刺客か?」
ハッと状態を起こすと、今迄横たわって居た彼女?がゆらりゆらりと起き上がりゾンビの様に揺れながら、俺をキッと見下してきた。
其の眼は月明かりのせいか?ギラリとおぞましい程圧倒的な恐怖を与えられたが、俺には神々しくも美しくも見えた。
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