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嗚呼…女のコだったのか…ってワザワザこんな竹藪で女装してる野郎に出会す激レアもないか…ってぇッッ!
ザクシッッ
ちょ、ま、な、何なの!?このコ今マジ踵落としましたよね?俺の手潰そうとしましたよね?
「…失せろや。次は本当に落とすぞゴラァ…」
…やっぱ今のは脅しだったンですね…。ってェェエッッ!
「な、な、何云っているンだよ君ィッッ。ババァ?何俺、ババァ知らないから。ねっ、だからヤメテ。お願いだからヤメテ。ねっ俺通りすがりの只のリーマン辞めた駄目な野郎ですきゃらッッ!」
……。
ギョロリ
胸が高鳴る。
彼女が見下してくる眼は、丸で俺を汚物を観る様に冷め切った眼差しで、機械の如く冷徹で居て、月明かりが反射しているせいか、爛々と妖しく俺を掻き乱してくる。
自分が値踏みされて居る只の肉の塊みたいに思えた。
抗う事は1ミリ足りとて許され無い、そんな蔑んだ眼差しに俺は今迄出逢った事があっただろうか。
上司…いや、母親さえ圧倒的に上回っている!!
是非もねえ…。
「あんぱん」
…?。
「あんぱん」
…あ?
「あんぱん喰いたい」
…いやだから何故故にあんぱんを
「あんぱん喰わせてくれたら信じてやるゼ」
…。
…恐ェェ。
ゆとり恐ェェ。
俺には理解不能だ。
「何だよ買って来れねぇって事は刺客と認識させて貰うぞ」
「だぁっちょっ待てッッ!買う!買うからッッ!落ち着け…兎に角落ち着いて!ねっ」
俺が落ち着けよ…。
取り敢えずココは、あんぱん買えばイイらしいから俺はあんぱん買いに行くしか無いンだ。
「アァシ今日昼からなーも喰ってないだよ。腹が空いて穴が開きそうなンだ」
そう云って腹を擦る彼女は、只の女のコだった。
ひとつ、酷く痛々しく見える顔のガーゼ以外は。
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