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気が付いたら俺の職場即ち、経済産業省の屋上から飛び降りる場所を探して居た。
階下では、無遅刻無欠勤の俺が居ないと探してるのか…
嗚呼…忘れられてっかな。
まぁ いいや。
俺 疲れちまったもん。
フェンスは高高く反り返り、ご丁寧にも有刺鉄線付き。
中途半端に逃げたいなら帰りなよ、とでもからかわれている様だ。
勿論、逃げたいから此処に来た訳だ。
鉄線ごときが刺さろうが構わない筈だ。
登る途中に手を滑らせども何回だってやりゃあいい。
しかし無様な俺はフェンスを握り締め、死後の財産分与の事なんぞ考えて居る。
あのオマケ共に渡るのが悔しい。
遺書を書くとしても、誰宛てに書けばよいものか?
法人だとか宗教だとかボランティア団体だとか…ああああ!!
面倒くせぇっ
…………。
嗚呼
そっかぁ…
俺…今迄何一つやり遂げちゃあ居ないンだ。
だから登れやしない
だから死ねやしない
俯いて部署に帰るか?
トイレにでも引きこもるか?
実家に帰って具合が悪いと嘆くか?
思い切って辞表を書いて
みよう
か
静かにこころを壊されて逝く事に耐えられないなら
こんなに口惜しかったら、自分で自分の手ェ汚してでもやり遂げるしかぁないンだ。
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