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「別れよう。」
夕暮れに染まる蒸し暑い教室の中に僕はいた。
向かい側には見慣れた少女の姿。
整えられた机と椅子、磨かれた黒板、綺麗に拭かれた床。
数時間前まで生徒で賑わっていた教室とは別世界の様な、静かな空間に僕の声が響いた。
「え?」
「僕と別れてほしい」
「な、何言ってるの?」
僕の言葉に困惑している少女だったが、数秒後には一転して笑顔に変わる。
いつもの屈託のない笑顔。
――それを今から壊そうとしている僕がいる。
「あ、分かった。またいつもの冗談でしょ??もーっ今日は騙されないからね?それに、その冗談ちょっと酷いよ?」
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