159人が本棚に入れています
本棚に追加
「なにこれ」
「手錠」
それはわかってる。
私が聞きたいのは、何故私の左手首に手錠がはまっているのか、である。
因みに私は今の今まで犯罪に手を染めたことのない、至って清らかな人生を歩んできている。
その旨を伝えれば、彼は笑みを湛えたまま私に言った。
「いや、別に弥生が犯罪犯したから捕まえようって訳じゃなくて、ちょっと弥生を監禁しよっかなーって思ってさ」
……なんか今こいつサラリととんでもないこと言いやがらなかったか。
私がぽかんとしている間に彼はさてと、と言って立ち上りスタスタとベッドの方へ歩いていく。
私がそんな彼を目だけで追えば、ベッド脇に屈みこむ彼の姿が見え、先程聞いたガチャリという金属音が再び聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!